B-29 モーション記述システムの開発

指導教授 桐山 清

○ D91142 長島幸司

1.目的
 近年、3DCG(3 Dimension Computer Graphics)への関心が高まっている。特に、ネットワーク上ではVRML(Virtual Reality Modeling Language)という規格が広まりつつあり、これからは画像、音声などのマルチメディアデータと共に、動き(Motion)のデータが重要になると思われる。
 しかしながら、既存の3DCGソフト、特に動きをデザインするようなソフトはxyzの直交座標系と三面図にしばられたものが多く、3DCGに馴染みのない初心者にとってはわかりやすいものとはいえない。
 よって本研究では、初心者にもわかりやすいモーション記述システムであるTransmition And Motion Autharingシステム(以下TAMAシステム)の開発を目的とする。
 モーションの対象物としては、最もニーズの多い人体モデルを扱う。この人体モデルをふりつけ君と名づける。

2.TAMAシステムの基礎理論
図1 座標系のイメージ図
○ ワールド座標系とローカル座標系(図1)
 ローカル座標系とは、オブジェクト毎に定義される座標系である。対して、ワールド座標系とはその空間内で絶対的に定義されるただ1つの座標系であり、全てのオブジェクトはローカル座標系からワールド座標系に変換された後に、ディスプレイに描画される。
○キーフレームアニメーション
 キーフレームとは連続した動きの中でも、特に重要と思われる動きの節である。キーフレームアニメーションとは、そのキーフレームを元にキーフレーム間の中割りフレームを描く手法である。
 TAMAシステムでは各オブジェクトの回転角度を線形補間して、中割りフレームを自動生成する。

3. TAMAシステムの構成
図2 ふりつけ君の関節のツリー構造
 ふりつけ君の関節のツリー構造を図2に示す。
 TAMAシステムでは、まずユーザーが任意のキーフレームを数値で入力し、その後マウスで動かしたいオブジェクトを選択し、回転角度を入力する。
 ユーザーがデザインしたモーションを確認したい場合は、簡易再生機能を用いる。即座にキーフレーム間の動きを補間し、ふりつけ君のモーションを見る事が出来る。この際、ユーザーは自由に視点を設定する事が可能である。
 デザインされたポーズは、各オブジェクトの回転角度で保存されるので、ふりつけ君だけでなく複雑にモデリングされたオブジェクトにも利用する事が可能である。
 このTAMAシステムはWindows NT/95上で実装されている。描画には、OpenGL(Silicon Graphics Industry社が提唱した、ウインドウシステムに依存しないグラフィックライブラリ)を用いている。

4. 今後の課題
 姿勢をデザインする際のユーザーインターフェイスを、より直感的でわかりやすいものにする。具体的には、
1)根(root)を任意のオブジェクトに設定できるようにする
2) インバースキネマティクスを導入する
などの方法がある。
 回転角度を線形補間すると、細切れで不自然な動きになる可能性があるので、スプラインなどの非線形補間法を導入する。
 今後、独自のファイル形式だけでなく、動きの記述が可能な既存のフォーマットであるVRML2.0ファイル形式の出力を可能にし、汎用的に扱えるモーションをデザインできるようにしたい。